2014年1月7日火曜日

鏡開きと食文化/調味料歳時記


新年明けましておめでとうございます。本年は、調味料マイスターとしての活動を、瑞々しく芽吹くかせたいと思っています。

早いもので年が改まってからもう7日。今日は無病息災を願い七草粥を食べる風習があり、五節句の一つとされています。松の内の最後の日にあたり、お正月のご馳走に疲れた胃腸をいたわる、ちょうどよい食べ物ですね。

そして、もう一つ、お正月に迎えた歳神様を送り出す「鏡開き」。お供えした鏡餅を家族でいただき、一年の無病息災を願います。元々は武家から始まった行事。刃物ではなく木槌で開く(割る)のが縁起の良いこととされています。お餅を下げる日は地方によっても違いますが、一般的には1月11日にお汁粉やお雑煮を食べる伝統行事です。



小豆で作った餡に砂糖を加え煮たものに、餅などを入れたものが「お汁粉」の主流。当初は甘いものではなく、塩味で調理され酒の肴として用いられる事もあったそうです。寒い日には、体をとても温めてくれる甘〜いお汁粉。甘味処などでは、塩昆布や漬物など、塩味の濃いものを添えて出されます。これは、甘味を際立たせるための工夫。砂糖が貴重だった時代の名残とも言われています。

調味料歳時記の恒例、関東と関西の違いシリーズ、今回は「お汁粉」と「善哉」。またもや、今回初めて知ったことのでしたのでビックリしました。「汁粉」は、「汁(しる)」は“つゆもの”、「粉(こ)」は“実”をさし、具の入った汁を総じて「汁粉」と呼んでいたそうです。「善哉」は、仏語で「喜び祝う」という意味。年の初めに、餅を食べて祝い、その餅を「善哉餅」とし、これを小豆汁に入れたものを後に関西で「善哉」と呼ぶようになった、と言われています。

江戸時代中期に流行したと言われ、小豆の粒あんや、こしあんを使って作りますが、地方や家庭によっても違いがあるようです。関西は粒あん・こしあん、関東は汁気のある・なしで区別。関西では粒あんで汁気があるものが「ぜんざい」。こしあんで汁気があるものを「おしるこ」と呼ぶ。汁気のない粒あんの場合は「亀山」などと呼んで区別している。それに対して関東では汁気があれば「おしるこ(お汁粉)」とひとくくりにする。粒あんを使っていたら「田舎汁粉」「小倉汁粉」、こしあんを使ってたら「御膳汁粉」という具合。汁気がないあんを餅や白玉に添えると「ぜんざい」。

関東 ◇汁気あり
      粒あん ・・・おしるこ(田舎汁粉/小倉汁粉)
      こしあん・・・おしるこ(御膳汁粉)

   ◇汁気なし・・・ぜんざい

関西 ◇汁気あり
      粒あん ・・・ぜんざい
      こしあん・・・おしるこ

   ◇汁気なし・・・亀山

 関西から江戸に広がった食べ物であるとも考えているようですが、呼び名が分かれた経緯を示す文献はないようです。ちなみに、関西のぜんざい・おしるこの違いが正しく伝わらなかったとの説もあります。

鏡開きのお餅は、お雑煮にもしますね。こちらはお汁粉以上に、地方それぞれの風土が多様性が生まれています。

流山市・森のマルシェのfacebook『調味料歳時記』というコラムを執筆しています。このブログと相互リンクされていますのであわせてご覧ください。(2013年6月1日(土)つくばエクスプレス/流山おおたかの森駅前にて森のみりんマルシェというイベントが開催され、みりんのワークショップを担当しました。)

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