2013年10月7日月曜日

秋の味覚と調味料/調味料歳時記


暑かった夏もようやく終わり、すっかり秋めいてきましたね。秋は新米、果物など、様々な食材に恵まれる季節。この時期、海の幸の代表格といえば「秋刀魚」です。 

秋刀魚が広く食べられるようになったのは、江戸中期。今のように流通が発達していない時代は、輸送にとても時間がかかりました。そのため腐敗防止対策として、塩が振られていました。その塩がなじみ、ほど良い加減で焼いたのものが「秋刀魚の塩焼き」です。脂ののった秋刀魚の塩焼きに大根おろしを添え、お醤油をたらし、すだちを絞る。これぞ秋の味覚。「塩」と「醤油」、そして特産地徳島県では万能調味料ともいわれる「すだち」。実は秋刀魚と調味料の関係は、とっても深いのです。



秋刀魚は、DHAや動脈硬化を防ぐといわれるEPA、そしてビタミンE、A、B12も豊富に含まれている、栄養豊富なお魚。何と店頭に並ぶ秋刀魚は、養殖なしの100%天然もの。旬を美味しくいただきましょう。

そもそも秋刀魚の旬ですが、大まかに考えると8月から11月、その期間のなかには、「はしり」、「さかり(旬)」、「なごり」という3つの時期があります。私たちが住む日本は四季があり、本来は季節ごとに食べごろとなる食材が違うのです。けれども、昨今では様々な食材が通年にわたって出回っているので、旬がわかりにくくなっています。

ではこの旬の3つの時期を同じ様に、ただ塩焼きにするのではつまらないですね。そこでおススメをご紹介。

はしり・・・脂がほどほどで、身が締まっていてあっさりしているので、「お刺身」。醤油は「再仕込み醤油」。再仕込み醤油は、香り・味・色ともに濃厚なので、つけ醤油として万人受け傾向があります。

さかり・・・やっぱり「塩焼き」。脂が乗っていて旨味も多い。塩を振るのは直前ではなく、30分前ぐらいがベスト、程よく塩味が浸透して生臭さも軽減されます。塩は旨味が凝縮された天日塩がおすすめです。そして、醤油は「濃口醤油」。濃口醤油は五味の全てが調和し、また香りがよい。さらにすだちとの相性も抜群です。

なごり・・・最後は脂があってもなくっても美味しい「煮付け」です。醤油は「たまり醤油」。たまり醤油はとろっとする濃度があり、濃厚で独特の味わいがあります。調理に使うとツヤも出ることから煮物に向いています。

今回は「秋刀魚」「醤油」に注目してみましたが、様々な食材の旬に合わせた調味料の使い方を試していくと、それだけでレパートリーも増えますね。


流山市・森のマルシェのfacebook『調味料歳時記』というコラムを執筆しています。このブログと相互リンクされていますのであわせてご覧ください。(2013年6月1日(土)つくばエクスプレス/流山おおたかの森駅前にて森のみりんマルシェというイベントが開催され、みりんのワークショップを担当しました。)
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