2013年8月6日火曜日

真夏の味わい/調味料歳時記

今年の夏も暑い。それに豪雨や猛暑など天気が不安定。スッキリするには夏の風物詩「かき氷」が一番です。


日本人は冷蔵庫のない遥か昔から氷を食べて涼をとっていました。冬の間に凍った天然氷を切り出し、それを洞窟の奥などを使用し保存。それを氷室と呼びます。「日本書記」にも登場し、また清少納言の「枕草子」では「削り氷にあまづら入て・・・」との記述、意味は削り氷にシロップのように蔓草の一種の甘葛(あまかづら)の汁をかけて・・・という意味になります。京の都の夏は暑くて有名、平安貴族の方々も現代人と同じようにかき氷を楽しんでいたのです。

明治2年に氷水店が開店、2年後には天然氷が商品化され人気を得ました。明治20年になると村上半三郎という人が氷削機を発明します。私たち世代だったら見たことがある、ハンドルをぐるぐると回す氷削機はこのころには形になっていました。その後、昭和初期にはすでに一般化され、味は削った砂糖を振りかけた「雪」や、砂糖蜜をかけた「みぞれ」が定番でした。今でこそ様々な種類のシロップがありますが、シンプルだけど甘い冷たいご馳走だったのではないでしょうか。私が小さい頃にかき氷を作ってくれた父(戦前生まれ)が、「すい(砂糖水)」が一番美味しいとよく言ってました。砂糖(調味料)とかき氷は素敵な関係だったのです!ちなみに、写真は夏みかん果肉の生絞りに、白蜜(蜂蜜)を合わせたシロップ。現代は、かき氷も、いろいろとアレンジされていますね。

そして、なんといってもポイントは「水(氷)」。日本の水の性質はほとんどが軟水。かき氷に適しています。輸入されるミネラルウォーターなどの硬水は癖のある氷になり、シロップの味を消してしまうのです。京都の料亭などでは「水は究極の調味料」だと言われています。素材のそのものの味を生かす日本料理は、水の料理なのです。かき氷は、水の味を堪能できる食べ物なのです。ちなみに全国でも五カ所ほどになってしまった天然氷をつくられている業者さんの「天然水かき氷」。東京でも限定で食べられるところがあるので、探してみてください。昨年食べましたが、じっくりと時間をかけて凍った氷は、削ってもふわっとして優しい食感でした。

余談にはなりますが、出汁をひくということは軟水ならではの方法。関東より関西は硬度がやや低いといわれ、関西が昆布ベース、関東が鰹節ベースの出汁を用いました。昆布の出汁には淡口醤油が/鰹の出汁には濃口醤油というよう調味料の使い方の違いは、この「水」の違いから生まれたものであり大変興味深いです。

最後に調味料歳時記では恒例の関東と関西の食べ方の違いシリーズ。かき氷にもありました。関東は先にシロップを入れてからその上にかき氷をのせる。関西は先に器にかき氷を入れて、上からシロップをかける。真偽のほどはわかりませんが、待つやせ我慢が江戸の粋に対して、まず損得を考える商いの町大阪では美味しい合理性をとるなどの考え方があったようです。

流山市・森のマルシェのfacebook『調味料歳時記』というコラムを執筆しています。このブログと相互リンクされていますのであわせてご覧ください。(2013年6月1日(土)つくばエクスプレス/流山おおたかの森駅前にて森のみりんマルシェというイベントが開催され、みりんのワークショップを担当しました。)
http://www.facebook.com/morinomarche

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