2013年4月30日火曜日

桜餅 長命寺と道明寺/調味料歳時記

今年はとても早かった春の訪れですが、その桜の季節に食べるのが「桜餅」。桜餅は「塩」漬けした桜の葉に包まれています。葉は今頃から8月頃までの収穫されます。軟らかく産毛が少ないということで、主な種類は大島桜。西伊豆の松崎町で全国需要の7割を生産しています。大きな樽の中で半年ほど塩漬けすることにより、生の葉には無いクマリンという芳香成分が生まれ、独特の風味を醸し出すのです。そして葉っぱのしょっぱさが餡の甘さを引き立たせます。


ちなみ桜餅には関東風の「長命寺」と関西風の「道明寺」の2種類があります。小麦粉を水で溶いたものを薄く延ばし、それで餡を巻いたものが長命寺。山本やの初代山本新六が享保2年(1717年)、隅田堤の桜の葉を樽の中に塩漬けして、桜餅を考案し、江戸向島の長命寺の門番にて売り始めたことが長命寺の由来だそうです。ちなみに桜の葉をそのまま食べるのが江戸っ子の粋だそうですが、上記のクマリンには毒素があるので食べ過ぎない方が良いようです。



一方、もち米を蒸して乾燥させ粗挽きした道明寺粉で皮を作り包んだものが、道明寺。大坂(大阪)の道明寺で戦国時代から武士の携帯食として(ほしいい/糒/干し飯)が作られていたことで寺の名をとって道明寺と呼ばれてるようです。



私は生まれてからずっと関東地方で住んでいますが、ここ数年は道明寺のほうをよく見かけるような気がします。調味料はその地方ごとの味わいが違うことがよくありますが、和菓子でも同じことがいえるのですね。

2013年6月1日(土)つくばエクスプレス/流山おおたかの森駅前にて森のみりんマルシェというイベントを開催。そのイベントにおいてみりんのワークショップを担当します。流山市・森のマルシェのfacebook『調味料歳時記』というコラムを執筆しています。このブログと相互リンクされていますのであわせてご覧ください。
http://www.facebook.com/morinomarche

0 件のコメント:

コメントを投稿